最初に、簿記がわからなくなる理由について考察みたいと思います。私は、簿記がわからなくなる理由は自分の体験も踏まえると、大きく次の3つであると考えます。
理由その1:なじみがない
理由その2:最初に簿記の仕訳から覚えようとすること
理由その3:目的地がイメージしづらいこと
順番に解説します。一つ目はなじみがないことです。基本的に商売や会社のお金に関するお金の動きを想定しているため、そこに直接携わっていないと、イメージしにくい、とっつきにくいかもしれません。
二つ目は、仕訳から覚えようとすること。仕訳とは、取引を簿記のルールに従って記録することを言います。取引とはお金が関係する商売での活動全般をいいます。例えば、「魚屋さんが、商品の鮮魚をお客さんに200円で売って現金をもらった。」という売買があったとします。このとき仕訳は、次のようになります。
(左)現金 200 (右)売上 200
この仕訳により、商品をお客さんに売ったことにより現金200円が増えたということを意味します。現金が増えたら左側に、売上げが発生したら右側に書きます。金額は左と右のそれぞれの合計が必ず一致するという関係になります。このように商売における売買活動などお金に関するものを簿記のルールに従って記録することを仕訳といいます。この他にも様々なパターンの仕訳があります。なお、一般的には仕訳の左側を「借方」、仕訳の右側を「貸方」とそれぞれ呼びますが、本書では左と右という呼び方で統一したいと思います。
簿記は、あくまで決算書(次の章で解説します。ざっくり言えば、お金の成績表としてまとめた書類)の作成という目的のための手段にすぎませんが、簿記とタイトルにもある通りその簿記の仕訳そのものに目がいきがちで、結局何がしたいのか見失ってしまいます。
いきなり簿記の仕訳から始めるのは、完成図を知らないままひたすらジグソーパズルを組み立てるようなものかもしれません。
最後に三つ目です。二つ目と重複しますが、目的がイメージしづらいことです。勉強すればするほど仕訳の種類も多岐にわたって覚えていくことになります。そのため、仕訳を覚えることを先行すると、いつか壁にぶち当たります。仕訳は覚えたけど、結局どういう意味があるのかがわからない、という状態になってしまいます。
この分かりにくさをとっぱらい、骨組みの部分のみで考えると意外とシンプルなものと気づけます。骨組みがわかればあとは自分で肉付けできるようになりますので、まずは全体像を把握することが何より重要なのです。
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