いきなりですが、「簿記って何?」と聞かれたら、どう答えるでしょうか。
第一に言えることは、簿記とは「商売においてお金に関する取引を記録する技術」です。
取引というのは、例えばお店の商品をお客さんに提供してお金をもらうことなどをいいます。お客さんの立場から見たらお店から商品を買ってお金を支払うことをいいますね。)簿記は、商売などでのお金の様々な動きを一定のルールに従って記録することをいいます。これを日々記録することでお金の成績表としてまとめることができます。お小遣い帳では入出金の記録をつけて当月の収支や現金の残高を記録していきますが、これらを少し進化させたようなイメージです。
冒頭で、商売などでのお金の動きを記録といいましたが、大前提として現代社会は貨幣経済で成り立っています。貨幣とは、日本ではお金・円のことです。お札とか硬貨が日々利用されていますが、このお金を様々なモノやサービスを手に入れるために交換して経済が成り立っています。
例えば、今日の晩御飯はおさかな料理にしようと思ったときに、買いたい人(消費者)は魚屋さんに買い物に行きます。サンマが一尾200円で売られていたら、消費者は200円を魚屋さんに渡して、それと引き換えにサンマを受け取ります。このとき魚屋さんが、お金をもらって消費者にサンマを提供することを「売上」といいます。魚屋さんは200円をもらったので、「200円で売上げた」といったりします。例えば、こういったいつ何円で売上げたといった商売活動を、簿記で記録していきます。もちろん、消費者が200円でサンマを買ったということも簿記で表現できます。
この簿記で記録することを仕訳といいますが、先ほどの売買の仕訳はお店と消費者でそれぞれ次のようになります。
お店の仕訳 (左)現金 200 (右)売上 200
消費者の仕訳 (左)食費 200 (右)現金 200
このように、仕訳では左と右に分けて同時に記録していきます。左の金額と右の金額は必ず合計が一致します。この章では割愛しますが、一定のルールに従って記録していきます。例えば、現金は増えたら左に、減ったら右に記録します。なお、簿記の世界では仕訳の左側を「借方」、仕訳の右側を「貸方」と呼びますが、本書では左と右の呼称で統一したいと思います。
簿記がわかると、会社のお金の成績表が作れるようになるのはもちろん、その読み方や数字の背景にどんなことがあったのかがわかるようになります。
簿記は数字を使って、表現していきますが、複雑な数学の知識などは不要な学問です。基本的な加減乗除(+-×÷)、極端に言ってしまえば、足し算と引き算がわかっていれば事前知識としては十分だと思います。
しかし、そこには独特のとっつきにくさがあり、超えるべき壁もいくつかあります。スムーズに理解してもらえるよう、かみくだいて解説できたらいいなと思いますので、続きも読んでもらえると幸いです。
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